おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
 夏本番まであとわずか。梅雨の晴間には気温30度を越える日もあり、各地でプール開きのニュースも聞かれます。水恋しい季節到来です。

 水に親しむという観点からサルを見てみると大きく2分され、水に入らないために「苦手」と考えられているサルの仲間と、気候条件さえ整えば飛び込んだり泳いだりする「水好き」のサルの仲間とがいます。前者の苦手組にはテナガザル、クモザル、リスザルなどがおり、後者の水好き派にはヒヒの仲間などオナガザル科のサルが入ります。
 アヌビスヒヒは、水遊びをする代表格の1種で、気温が25度を超えるお昼前後から、水を満たしたプールに集まってきます。手や足を浸したり、時にはこの写真のように泳ぐ姿を見せてくれたりします。
@プールの縁から飛び込み、


A水上に浮いたかと思うと、


B次にはきれいにターンを決めて、


Cあっと言う間に反対岸にゴールしています。



 当園では、サルが水と親しむ生態を少しでも発揮できるようにと施設が設計されていますので、このヒヒの他にも、ヤクニホンザルなどの水遊び風景を観察できます。オリンピックを控えて、水泳がブームとなっています。この機会に、サル達の泳ぎも是非一度ご覧下さい。(平成20年7月2日現在)
             
           木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。