バックヤード&アフリカセンター担当:藤森
多くのみなさまのご協力により、今年の4月下旬、バックヤードに新しい施設ができました!
屋内飼育施設「多目的ルーム」と、屋外運動場「おひさまエリア」です。
施設の詳細はこちらの紹介動画をぜひご覧ください。
クラウドファンディングにご協力くださったみなさま、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございます!
さて、完成後の動向につきまして、さまざまなタイミングかつ、さまざまな形式で、ちょこちょこと報告してきてしまった結果、どのくらいみなさまにお伝えできているかわからなくなってきましたので、簡単ではありますが、まとめてみました。
施設完成後、まずスタッフたちの手で壁の色を塗り替えたり、ケージの内装を整えたりといった整備をおこないました。
根本さんと石田さんにプラットフォームをつくってもらったり、

腕を出して、隣の部屋や通路にいる個体とケンカしないようにするための網をはったり、

エアコンの風が直接当たるのを防いだり、蛍光灯を触らないようにするための板を設置したりなどなど。

このような整備に必要な資材も、バックヤードへのご寄附金で揃えさせていただいています。
ほかの作業の合間を縫って、みんなで進め、約2か月かかって整備終了。ついに動物たちのお引っ越しです。
6月22日、ボウシテナガザルのドントが第一号として、多目的ルームに移動しました。
施設の引っ越しをするとき、麻酔を使って眠らせる方法もありますが、超高齢なドントに麻酔をかけるのは負担とリスクが大きすぎました。そのため、トレーニングによってドントに自ら移動用ケージに入ってもらいました。トレーニング期間中、応援のコメントや食べものをたくさんいただき、私たちの励みになりました!ドントは最初こそ戸惑いましたが、要領を得たのか、どんどんとトレーニングの課題をクリアし、当日もなんの問題もなく移動してくれました。
現在は、多目的ルームとおひさまエリアをつなぐ通路を行き来するトレーニングをしています。こちらも順調にこなし、7月25日、初めて通路の屋外部分に出ました。
これまで室内のみのケージでくらしていたドントですが、約13年ぶりに太陽の下に出ることができました。おひさまエリアの整備が終わり次第、おひさまエリアにも出る予定です。

お引っ越し第2号は、ベルベットモンキーのシンです。
シンは7月3日に移動しました。糖尿病を患い、高齢で、目も不自由なシンに合う施設がなく、ずっと病院で飼育してきましたが、ようやくシンにも合う施設ができ、引っ越しが決まりました。

糖尿病自体は飲み薬と食事制限でコントロールできるまでに安定していますが、移動のストレスによる悪化の可能性もあったので、移動は慎重におこないました。シンも自ら移動用のケージに入ってもらいましたが、すぐに多目的ルームには連れて行かず、そのまま数日尿検査をしました。尿検査で問題がないことを確認してから、ようやく新施設に移動できました。
シンは高齢かつ目が不自由という点で移動が苦手なため、現状おひさまエリアへ出すことは考えていません。その分、窓際の日当たりのいい部屋に引っ越しました。
少しずつ部屋に慣れてもらうために、部屋を区切って今は手前半分だけを利用できるようにしています。ごはんや声かけで歩いてもらうようにしていますし、自分でもよく移動していますよ!
また上下にも区切って、床面を底上げしています。シンには厳しい上下運動をしなくても、日の当たる高さですごすことができ、寒い季節には底冷えから守ることもできます。今後は床面の高さはそのままに、使えるエリアを広げていく予定です。

お引っ越し第3号はシロテテナガザルのイレブンです。
イレブンはバックヤードの室内ケージの中でうまれ、以来そこから出たことがありません。変化の乏しい環境で育ったイレブンは、とにかく「いつもと違う」ことに敏感です。そんなイレブンの移動は、先の2個体以上に不安が大きかったです。
イレブンとドントは同じ部屋にいましたが、ドントのケージと違って、イレブンのケージは移動用ケージをつけることができない仕様でした。また、イレブンはヘルニアを患っています。ヘルニアになっていること自体は外見から判断できるのですが、体内でどういう状態になっているかがまったくわからない状況でした。そのため、麻酔をかけて、検査をしてから多目的ルームに移動することになりました。
検査の結果、現状は問題ないことがわかりました。一安心です。
検査のあと眠ったまま多目的ルームのケージ内へ移動し、そのあと覚醒しました。

猿生(人生)初のお引っ越し。最初はかなり戸惑った様子で、ケージ内の移動もたどたどしいかんじでしたが、今はケージ内の移動は問題なくできるまでに落ち着きました。ただ、まだ以前のように遊んだりはできていません。またドントと同様に、通路を行き来するトレーニングをしていますが、こちらも難航しています。11年間ひとつのケージ内でくらしてきたイレブンは、「通路」を知りません。得体が知れなさすぎて、どうすればいいのかわからないようです。
ドントが使うところを見てもらいつつ、ゆっくりとトレーニングを進めていきます。
みなさまからご寄附いただいた食べ物などを楽しみながら、この環境に慣れてくれることを祈ります。

殻付き甘栗を渡すと、殻の堅さに

こんな凶悪な顔になったりする日もあります。(そんなに堅くないんですけどね汗)

ざっくりですが、現状のご報告でした。
室内のみで飼育している動物を太陽の下に出せたらなぁ、介護もできる施設があったらなぁと多くのスタッフが何年も夢を見てきました。その夢物語が、みなさまのお力添えによって、現実のものとなりました。
どれだけお礼をしてもしきれないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に本当にありがとうございます!!
これからも動物たちの飼育環境を改善し、動物園としての役割を果たしていきたいと思います。