ヒヒの城担当:荒木
すでに汗が止まらなくなっている荒木です。もう夏ですね。
ケージが完成しました!
と本題に入る前に。
今回はヒヒの城の寄附金で部品を購入しましたので、どなたでもご覧いただける公開記事とさせていただきます。なので、今までの経緯を知らない方にも伝わるように、前置きをさせていただきます。
どうぞお付き合いくださいませ。
ヒヒの城には約80頭のアヌビスヒヒが一つの群れでくらしています。
年齢層は幅広く、最高齢は31歳から若い個体は5歳までいます。
そんな施設で老若オスメスが80頭をワイワイガヤガヤ賑やかにくらしています。
以前はオス同士のケンカを減らすのが課題だったので、色々工夫してケンカを減らすように取り組んで、少しずつ落ち着き始めた今日この頃。
新たな課題として、『老齢個体、運動機能の低下した個体のケア』が上がってきました。
ケアが必要な個体は
・ゾヘ (31歳。高齢のため両目の視力低下)
・ナレル (30歳。高齢のため運動機能低下)
・コア(変形性脊椎症のため、両手が不自由)
・コウミ(変形性脊椎症のため、背骨が湾曲。現在は元気だが、負担がかかると悪化する可能性あり)
の4頭です。
少し前の話ですが、老齢のオス個体が病気になった際、ヒヒの城の群れでの飼育が難しいため、アフリカ館に引っ越しました。しかし現在はアフリカ館もキャパオーバーなので、新たに部屋を用意することが難しいのが現状です。
穏やかに余生をすごしてもらう、体に負担をかけないために4頭を群れから分離して狭い個別ケージで飼育する方法も考えましたが、果たしてそれが4頭にとってベストの選択なのか…
ケガのリスクは減るんですが、やはり群れとの交流を断ち切るのは可哀想ですし、動かないと筋力も体力も落ちていく一方なので、『ケガのリスクを下げ、群れとの交流ができるケージ』を作ることにしました。
具体的なケージの使い方は日中は群れとすごしてもらう。夕方〜翌朝はケガをしないようにケージ内ですごしてもらう。
そうすればなんとかケガのリスクを減らしつつ、群れとの交流がもてるという最高な使い方ができます!
自分で少しずつ空いた時間でケージの準備を進めておりました。

組み上がっていた檻を一度バラバラのパーツにして、ヒヒの城に持って入り、再度組み立てました。
業者に頼めばよかったと後々思いましたが、計画段階ではなんとかなりそうと甘い考えでしたので、自分で作るというクレイジーな発想にいたりました。
計画し、作り初めて2ヵ月たった今月の上旬にやっと完成しました!

他の飼育員にもお手伝いをお願いして、なんとかできました。
その後はパーツ同士を固定したり、塗装したり、内部の整備を少しずつ進め、先週に全て完成しました!

計画当初は2階建にしてもコアは手が不自由だから2階には昇ってこないだろうと予想していましたが、まさかの2階に登る。
意外と動けたのか、気合いで登ったのかわかりませんが、スロープを作っていなくて、2階から落ちてしまったりもしました。
そのままだと病気が進行してしまうので、スロープもつくることにしました。こちらが昇り降りしているコアです。これで落ちることはなくなりスムーズに昇り降りできるようになりました。


その後は1頭ずつ作ったケージの出入りを覚えもらい、ケージ内ですごす頭数を1頭ずつ増やしていき、やっと5日ほど前から4頭ですごせるようになりました。老齢個体同士なので、ケンカはあまり心配していませんでしたが、移動と出入りが不安でした。
すっかり慣れ、ケージ内でもくつろぐ姿が見られるようになりました。

たまに群れでのケンカに巻き込まれたり、ちょっかいかけられたりすることをありますが、それでも穏やかに日光浴している姿を見ると頑張って作って良かったと思います。


最後になりましたが、今回のケージ作製にあたり、ヒヒの城の寄附金を使わせていただきました。
今後も動物たちのくらしがより良くなるように寄附金を使わせていただきます。ありがとうございました!
最後に10日報
ナレル、コア、ゾヘはケージが完成したので、群れに戻りました!
・スミレ
群れに戻りました。ケガで尻尾が短くなってしまいました。
・エクボ
群れに戻りました!
・イホ
群れに戻りました!
・ヤクト
群れに戻りました!
・ナッシュ
ケガの近くが化膿していたようで、もう少し薬を飲むために隔離しています。
・タマゴ
背中をケガしたので、薬をあげるために隔離しています。
※本記事は、『【猿分補給】日本モンキーセンターとつながるオンラインサロン』にて、4月25日に一般公開された記事を一部変更を加えて転載したものです。オンラインサロンでは、この他にもサロンメンバー向けの記事を投稿しております。
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