おさる獣医師の動物園歳時記
   【 Waoランド赤ちゃん誕生! 編 】

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です



動物園で、この春オープンした「Wao(ワオ)ランド」では、
ワオキツネザルの赤ちゃんが次々生まれ、現在、三月半ばから
四月後半生まれまでの複数の赤ちゃんをご覧いただけます。
日齢に合わせてそれぞれ発育に個体差がありますので、個々の
識別も容易にできます。成長をカメラに収めようと、何度も足を
運んでいただけるお客様もおみえになります。
原産地であるマダガスカルでは、ワオキツネザルの出産は九月頃が
ピークとされています。南半球にありますので、現地の九月はやはり
気候の良い春にあたります。


ワオキツネザルの赤ちゃんは、特に成長が早く、夏までの短期間に
急速に大きくなります。このため母親は、効率よくエネルギーを吸収し、
より栄養価の高い母乳を作り出す必要があるのでしょう。
ワオキツネザルの社会は、多くの他のサルと異なり、メスが強い社会です。
特に子育て中の母親は強力で、食事時には、当然のように餌のお皿を独占しています。


不思議いっぱいのワオキツネザルですが、赤ちゃんの瞳がこれまた不思議。
母親をはじめ、大人の瞳は茶褐色なのですが、生後間もない赤ちゃんの瞳は
なんとエメラルドグリーンなのです。発育に伴い茶褐色に変化し、大人と同色に
なる頃には、一人歩きをするようになります。


目が離せないかわいい盛りの赤ちゃんにぜひ一度会いに来て下さい。

今日も完食!ごちそうさまでした。


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
新たな写真を加えています。またテキストは加筆修正を加えています。