おさる獣医師の動物園歳時記
【 動物園で学ぶ正しい夏のすごし方 編 】
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です

夏、真っ盛り。
動物園のサル達はどのように暑い夏をすごしているのでしょうか。
「マダガスカル館」のクロキツネザルは、木陰でゆっくりお昼寝。
周りに池がある施設ですが、泳ぎが苦手なため、水と親しむことはありません。
原始的なサルで、手足を舐めて体温を下げるのはネコと同じです。

「ヒヒの城」のアヌビスヒヒの中には、池の水にダイナミックに飛び込む個体がいます。
その時、ザブーンと大きな音が城中に響きます。
ただし、水に入る時は肩まで浸かることは少ないようです。
「半身浴」でリラックス?。

「カニクイザルの山」のカニクイザルは、水辺に棲むサルで泳ぎは大変上手です。
飛び込んだ後、何秒間か潜ることもできます。潜る瞬間、目を閉じるように見えますが
水中で目を開いているかどうかはわかりません。
水辺に20頭近く集まる時もありますが、全員が水に入るわけではありません。
毛がしっとり濡れた跡がある個体に注目していると、飛び込む瞬間を観察しやすくなります。
このほか小石を拾って水に浸し、その後口に入れて遊ぶ個体もいます。
冷やしたものを口に含むのは、アイスキャンディの始まりか?
とも思いましたが定かではありません。

サルは大半が熱帯林原産ですが、暑さしのぎは様々です。
ありがたいことにヒトにも水と親しむ能力が備わっています。
夏はプールで水遊び、というのがいいかもしれません。
この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
新たな写真を加えています。またテキストは加筆修正を加えています。