おさる獣医師の動物園歳時記
【 「秒速の枝渡り!」サルは樹上のアスリート編@ 】
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です

トリノオリンピックが閉会しました。鍛えぬかれた肉体が、それぞ
れの競技への極限までの適応を物語っていました。アスリートとい
う言葉は、一流の運動能力を備えた選手という意味で使われ、オリ
ンピックは正に、真のアスリートだけが集える場なのでしょう。サ
ルの世界にも、オリンピック級のアスリートと呼べる仲間がいます。
動物園の人気アスリートをご紹介しましょう。
「テナガの島」で放し飼いしているシャーマンです。別名フクロテ
ナガザルとも呼ばれ、喉元に大きな袋を持ち、息を蓄えることによ
り大きな鳴き声で長く鳴き続けるサルとして有名です。話題の運動
能力は、正に樹上のアスリートと呼ぶに充分のパワーを備えていま
す。10メートル余の雲梯をあっという間に渡りきりますので、、、、、
秒速10メートル!!!という計算になります。
写真判定が必要なくらいのスピードですね。
フレームに納まった写真をよくよく見てみると、足ほどに太い腕を
バランスよく振り、長い手指をフック状に引っ掛けて使うなど樹上
生活にみごとに適応しているのがわかります。また、意外にも目線
の先は遠くにあり、手元は見ていないようです。この他園内では、
アジルテナガザル、ボウシテナガザル、シロテテナガザルたちが
技
とスピードを競っています。
「秒速の枝渡り」を一度見にお出かけ下さい。
また、独特の鳴き声もぜひ聞いてみて下さい。
このシリーズは中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
新たな写真を加えています。またテキストは加筆修正を加えています。