おさる獣医師の動物園歳時記
  いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です


動物園では今年も多くの赤ちゃんが生まれています。
アジアのサルを集めた「アジア館」では、現在
4種9頭のお母さんザルたちが子育て奮闘中です。

元気に成長し、一人歩きを始めた子ども達は危なっかしくもあり、
とびっきりかわいくもあり、見ていて飽きることはありません。
4種9頭の内訳は、シシオザル1頭、トクモンキー4頭、
ボンネットモンキー2頭、カニクイザル2頭です。
特にトクモンキーは、今年に入っておとなのメス全てが出産しました。
全頭出産は例が無いように思います。
性格がおとなしいサルですので、子育てもゆったり型で、トラブルもありません。
全ての父親となったオスザルは、どっしりと構えています。
これらのサルは1産1子が基本です。
発育の度合いや母親の子育ての仕方によって個性が見られます。
写真の母親(「キキョウ」といいます)は、グループ内最高齢で、
子育てにもどこか風格が感じられます。
子ども(1月31日生のオス、「フィルダー」といいます)は、
母の胸元を離れてすごす時間が次第に長くなってきています。
今年のように出産が続くことは、子ども同士で遊ぶ機会が増える
ことでもありますので、その発育には肉体的にも精神的にも有意義です。
トクモンキーはインド南東、セイロン島のみに棲息するサルです。
国内での飼育園数も少なく、この地方では当園のみでご覧いただけます。

日本モンキーセンターは今秋設立50周年を迎えます。
記念事業の一環として、園内では新施設「モンキースクランブル」をオープンしました。
秋の一日、動物園にぜひお出かけください。


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
新たな写真を加えています。またテキストは加筆修正を加えています。