おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 

 昨年秋にオープンした「モンキースクランブル」は初めての夏を迎え、ここに暮すシャマン(フクロテナガザル)のオス「ドリアン」(1歳10ヶ月)は高さ15メートル長さ200メートルの巨大ウンテイを一人で自由に行き来できるようになりました(写真右 左は母親の「リンダ」)。
 オープン当時はまだまだ「赤ちゃん」で母親の胸に抱かれていました。暮れから新年にかけては、アシストロープと呼んでいるロープを使いながら、一歩一歩伝わり歩き(よちよち歩き)をはじめました。
 今夏に入ってからは、アシストロープに頼らなくても、大人と同じように握り棒(直径5センチメートル)と支柱(同12センチメートル)だけでウンテイ渡りができるようになりました。当然移動にかかる時間も次第に短縮され、じっと待つことが多かった母親と今では競争しているかのように渡っていきます。秋に入ってからは、その渡りの技?に一段と磨きがかかってきました。
 秋の一日。「モンキースクランブル」まで、たくましくなったドリアンに会いに来て下さい。(2007−9−1)


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。