昨年6月、マントヒヒの雌2頭(「クレオ」と「パトラ」)が
遠く長崎県の佐世保市亜熱帯動植物園からお嫁入りしました。
お見合い後、既に飼育していたペアと同居を開始しましたが、
馴染むまでに数か月を要しました。
飼育員の努力の甲斐あって、クレオが9月15日、
待望の赤ちゃんを出産、順調な子育て見せてくれています。

マントヒヒは、エチオピアからソマリアにかけての
アフリカ北東部とアラビア半島南西部に生息しています。
古代エジプトでは、神トースの従者として神聖化され、
古くはエジプト、ナイル河畔にも広く分布していたと考えられています。
マントヒヒの社会構造は早くから研究の対象となり、
大変注目を集めました。
ワンメイル・ユニット(一頭のオスによる最小単位)
と称される単雄複雌(たんゆうふくし=一夫多妻型)を基本とし、
重層的な社会を構築します。
このことが原始人類の社会に近いとされました。
マントヒヒが高度な社会構造をもつことに、
古代エジプトの人々も気づいていたのでしょうか。
赤ちゃんの体毛は両親より黒く、
これから次第に親と同じ毛に生え換わります。
男の子ということがわかっていますので、
名前のごとく将来は立派なマントを羽織ることでしょう。
もう一方の雌、パトラのお腹も大きくなってきていますので、
この記事が掲載される時にはもう一頭の赤ちゃんもお目見えしているかもしれません。
全国20園ほどの動物園で飼育されていますが、
この地方では当園のみでご覧いただけます。
クレオとパトラ、そしてかわいい赤ちゃんに
どうぞ会いに来てください。
(平成21年10月21日)
(追記)
記事中にあるパトラの赤ちゃんですが、想定していたよりずいぶんと遅れて、
10月24日(土)朝に産まれました。担当者共々胸をなでおろしております。
パトラはお母さんらしく、とても愛おしそうに抱っこしています。
一方、クレオの赤ちゃんは今ではひとり歩きをしている時間が長くなっており、
かわいい盛りです。先日、赤ちゃんを観察中のご夫婦とお話ができました。
新聞記事をご覧になられて会いにきていただいたそうです。
どうもありがとうございました。
(平成21年10月30日)
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