おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 


テナガザルの仲間はいずれも
東南アジアに棲息しており、
どの種も絶滅の危機に瀕しています。

私たち日本人は同じアジアに住む者として
その事実に目を向け
もっと身近な問題として
捉えるべきでしょう。

様々な理由で生息域が狭められ、
彼らが生きにくくなっています。
歴史的にも木材の輸入等々
その原因のいくつかは
私たち日本人が
影響を与えてきたとされています。

動物園では、これら希少となってしまった
テナガザルを少しでも残したいという思いから
国を超えた協力体制を組んで
種の保存に取り組んできており、
米国ギボン(テナガザルの意)保護センターとの連携で
昨年2頭の赤ちゃんが生まれました。

1頭は当センターから米国へ婿入りした
「ドミノ」がもうけた赤ちゃん(雌5月生)と、
交換で米国から嫁入りした「カナコ」と
当センターの「カン」との間に生まれた
赤ちゃん「コーリー」(雌9月生)の2頭です。



(写真はカナコに抱かれるコーリー)



ドミノとカンは3歳違いの兄弟ですから、
赤ちゃん2頭は従姉妹となります。

今日は七夕。

日米ではるばる1万キロを隔てた
赤ちゃんたちが共に元気に
育ってほしいと願っています。

(2010.07.07)

木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)



この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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