おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 


             今日はシロガオサキのご紹介です。

 このサルの特徴は、なんといっても白いお面をかぶったかのようなその顔付きでしょう。耳から後ろは真っ黒ですのでお面顔がより浮かび上がって見えます。鼻孔は広鼻猿(こうびえん)とも呼ばれるオマキザルと同じく、外側を向いています。そしてよく見てください。口髭(くちひげ)も蓄えています。「サキ」とは現地語で「小さなサル」を意味するようです。頭胴長40cm弱、尾はそれより少し長めです。ネコくらいの大きさですが、体重は2kgほどしかありません。えらそうに見える顔の印象よりもずいぶんスリムな体型をしています。動きも身軽でふわりふわりと木渡をします。現地での食性についてはよく調べられており、果実、種子、花、葉のほか小動物も食べています。しかしながら動物園での飼育歴はさほど長くは無く、飼育する園もほとんどありません。人慣れもせず生態や繁殖等わからないことの多いサルです。

           
                     

この写真のサルは、毎朝日当たりの良いところに出て毛繕いに余念がありません。のびのび足を伸ばしてかっかっかっと掻いています。そして口を「へ」の字に結んで空を見上げる目つきには、強い意思すら感じられます。冬の早朝が見頃です。南米館にいます。孤高のサキにぜひ一度会いに来てください。

                  (2011.1.12)

                   木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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