おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 


今日はエリマキキツネザルをご紹介します。

キツネザルの仲間の中で最も大型ですが
それでも成体重は3.5sほどしかありません。
同体重のネコと比べて大きく見えるのは豊かな皮毛のせいです。
その皮毛のバリエーションでいくつかのタイプに分けられ、
当園で飼育しているのは白黒ツートンの「パンダ」タイプです。



 写真は4月生まれの雄「シナモン」です。生まれた時からツートンです。
お母さんが育てることができなかったために飼育員の手で育てられました。
日光浴と運動をさせる目的でこうした屋外活動の時間を設けています。
3カ月齢までは発育が悪く、体重が双子の妹「クミン」の8割ほどしかありませんでした。心配した時期もあったのですが、飼育員のケアと投薬の甲斐あって、
今では見た目にも違いがわからないほどに追いついています。

仲良く暮らす双子ちゃんですが、性格の違いはあるようです。
シナモンは神経質な妹と比べてずいぶんとのんびりしています。
 こんなにかわいいエリマキキツネザルですが、絶滅が危惧されているサルの1種です。
現地マダガスカルでの保護はもちろんですが、動物園においても種を保存する活動と
して繁殖や飼育、病気の研究に取り組んでいます。(2010.11.10)

木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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