おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
 
       今年も変らず野山に緑あふれ、命みなぎる季節となりました。
            今日はトクモンキーを紹介します。

           

 インド南東、スリランカがこのサルの故里です。ニホンザルの仲間ですが小柄で、体毛は明るい茶色をしています。名前のトクは「トーク帽」に由来、頭頂部の毛が平たく放射状に伸びることから付けられたようです(写真手前右)。

 このほか耳と唇が黒くなるなど顔つきに特徴があるサルです。出産期は春とされており、今年も元気な赤ちゃんが産まれました。現在4頭が元気に育っています。
 赤ちゃんの間は耳も唇も薄い肌色のままですが、頭はやはり帽子をかぶったようなヘアスタイルをしています。社交性が高く穏やかな性格のサルですので、群れ内のいざこざはほとんどありません。大人のサルたちは、大家族の中で入れ替わり立ち代り長い時間毛繕いをして過ごしています。赤ちゃんは、この後成長し遊びの中から社会性を身に付けていきますが、今はまだおっぱいを弄りくわえ、寝ている時間がほとんどです。産まれ出た小さな命が懸命に乳を飲む姿に毎年いつも感動を覚えますが、今年は特に命の大切さや家族の絆、命のつながりについてまでも思い考える自分がいます。

               (2011.05.18)

                木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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