おさる獣医師の動物園歳時記
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。
記録的な酷暑で迎えた夏。春に生を享けた赤ちゃんたちにとって初めての夏です。エリマキキツネザルの双子の赤ちゃん。![]() バジルとオレガノは四月三十日生まれ。甲斐甲斐しく世話をする両親の愛情一杯に、今日も元気に動き回っています。 ![]() 六歳の母親(ジル)と十七歳の父親(ジャム)のペアは、三年前から子どもをもうけてきましたが、母親の若さか、一産目、二産目は出産直後のケアがうまくできず、人工哺育(母親に代わって飼育員が子育て)となりました。三度目の正直と迎えた今春は、ジルの経験に期待するとともに、出産環境を整える飼育員の工夫も実って、自然哺育(文字通り親がそのまま育てる育児)で子育て中です。希少種の人工哺育の技術はまだまだ研究途上です。飼育員が必死で育てた兄姉たちよりバジルとアルガノの成長はずっと順調です。改めて母親による授乳や育児の深みを思い知らされるところです。エリマキキツネザルの出産は通常一産二仔、つまりは双子が標準です。二卵性ということもあり、バジルとオレガノの個性もすでに出始めています。現在、夏バテのため子供たちのみ一時「南米館哺育室」に移動し静養しています。プール帰りにどうぞ会いに来てください。(2011.07.20) 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師) |
この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。
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