おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 

 今日は、動物園の新メンバー、チンパンジーのマリリン(メス・23歳 写真左上)をご紹介します。

 マリリンは昨年秋に伊豆シャボテン公園からブリーディング・ローン(Breeding Loan)で来園しました。ブリーディング・ローンとは、希少な野生動物を絶やさず増やしていくために動物園間で協力し、動物を借りたり貸したりする契約をいいます。絶やさず増やすといっても、コトは簡単ではありません。
 血縁を考えるところから始まり、数百キロメートルの引っ越しを事故なく完遂する必要があります。引っ越した先では新しい生活環境に慣れてもらって、同居個体(特に配偶者)との良好な関係づくりが必須です。当園でも、ここまでに4カ月をかけ、先月からようやく屋外での落ち着いた風景が見られるようになりました。同居するツトム(27歳)との間でかわいい赤ちゃんをもうけてもらいたいと願っています。

 このほか当園では希少動物の保護活動として、チンパンジーを含む大型類人猿保全計画日本委員会(グラスプ・ジャパン GRASP-Japan)の活動も行っています。マリリンの来園を通じて、アフリカ現地でのチンパンジーの現状についても知っていただければと思います。興味のある方はホームページもぜひご覧ください。また、ビジターセンターでは特別展「アフリカ」も好評開催中です!(2012年4月4日更新)
                   
http://www.grasp-japan.org/



 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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