おさる獣医師の動物園歳時記
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。
今年の春も動物園ではたくさんの赤ちゃんが産まれました。どのサルの赤ちゃんも皆愛らしく、毎日見ていても飽きることはありません。個々の子育て風景は、時には危なっかしくも有り、時には長閑であるなど、両親の育児経験や個性・性格によってもそのスタイルはまちまちです。 パタスモンキーの「キノコ」は、二月二十九日に女の子の赤ちゃんを出産しました。閏(うるう)日に産まれたため「ウル」と名付けられました。キノコの子育ては、丁寧でとても慎重です。ウルの被毛はいつもきれいに整えられ、授乳中はその長い手足を折りたたみ慈しむように抱きかかえています。父親の「アトラス」がディスプレー中も、そっと距離を置き見守っています。アトラスは、体格も立派で、「いかつい親父」タイプなのですが、授乳中のキノコに寄り添い、不器用に背中をグルーミングする姿を見ることができます(写真)。 パタスモンキーはこのコーナーでも何度かご紹介してきましたが、赤ちゃんの話題はお伝えすることはありませんでした。キノコは二世誕生を期待され一昨年秋に東山動物園から来園しました。こうして無事に出産し、順調な子育てをみせてくれて飼育担当者共々ホッとしています。(2012年6月10日更新) |
この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。
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