おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
 10月に入り、気持ちのよい秋空を堪能できる季節となりました。
今日はシャマン(フクロテナガザル)の赤ちゃん「ピーチ」をご紹介します。
ピーチは6月22日に生まれました。生後2日目で母親が育児をやめてしまったため、人工哺育となりました。その時の体重は491gでした。それから3か月余り、飼育員
の懸命のケアと授乳のおかげで今では、倍以上の1200g程となっています。
天気の良い日には時間限定ではありますがこの写真のように芝生で日光浴をさせてもらいます。その際歯を見せてごきげんな顔を見せてくれることもあります。

      

「3か月でこの歯並び?」って思われる方もあるかもしれません。
ヒトの乳歯は、生後6カ月位の離乳期から生え始めるようですが、サルの乳歯は文字通り生後間もなく生え始め、授乳期中にほぼ生え揃います。
テナガザルの歯式(歯の並び)はヒトと同じで乳歯は全部で20本。テナガザルはヒトと同じ類人猿なのです。ピーチは現在第2乳臼歯(一番奥の乳歯)が生えかけており、これが4本生えると20本全てが揃うことになります。

 当園では11月4日までの土日祝日11時から14時半まで「モンキースカイデッキ」を開催中です。高さ20mの上空でシャマンの目線を体験できるイベントです。

      

シャマンの運動能力のすごさと赤ちゃんの愛らしさ、ぜひご覧いただきたいと思います。(2012.10.10.)



 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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