おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
 万物が発(は)り、木の芽張る季節を迎えておりますが、2月のカレンダーをめくり去るまではなかなか春の実感は湧いてきません。しかし、ぽかぽかとほっとできる日が巡ってくるのもやはりこのころです。

 園内にある「モンキーバレイ」では、「冬の風物詩たき火にあたるサル」を実施しています。ここで暮らすヤクニホンザルたちにとっても、たき火の始まるまでの間日向に集まって集団でゆったりとすごす時間帯があります。モンキーバレイでは北斜面を利用し、4千平米超の敷地内に約150頭のサルを放飼しています。観客デッキから向かって右手前から朝の光が注ぎこみ、敷地内左奥角に集まるサルの集団を暖かく照らします。

         

この時のサルたちの姿は実に様々です。階段状に段差があるのですが、雛段のように並んで腰かける者がいるかと思うとまったく関係なく地面に寝そべるものもいます。うつらうつらと居眠りをするものもいるかと思えば、両手を忙しく動かし毛繕いに励むものもいて見ている方を飽きさせません。ただ共通しているのは、眼をしっかりと開けることはなく、閉じていたり半開きであったりすることです。春の日差しがよほど眩しいのでしょうね。
 冬至から始まった「冬の風物詩たき火にあたるサル」も2月末(明日!)が最終日です。まだご覧になられてみえない方はどうぞお出かけください。たき火が終わると当園の冬もおしまいとなり、いよいよ出産の春を迎えます。(2013.02.27)


 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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