おさる獣医師の動物園歳時記
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。
動物園も春本番。すくすく育つサルの赤ちゃんをご紹介します。ヒゲサキの「ラカーユ」は平成二十五年十一月二十八日生まれ、生後四か月の女の子です。体長約二十p、体重推定六百gといったところでしょうか。 普段はお母さんの背中に負われていますが、今ではすこしずつ背から降りてよちよち歩きを始めています。大人になると太い尾と独特の真ん中分けのヘアスタイル、名前の由来となった立派な顎髭が整うのですが、赤ちゃんの「ラカーユ」にはまだこれらは備わっていません。 ![]() 当センターで飼育を始めた昨春以前、ヒゲサキは三園で十数頭しか飼育されていませんでした。筆者自身もヒゲサキの赤ちゃんがどんな顔をして産まれてくるのか見たことがなく、出生直後のラカーユの顔を見た時には、ちょっとビックリ。それからは、どれ位でどのようにして大人の姿に変身していくのか、興味津々です。 ラカーユの両親は、それぞれ別々の動物園から希少種繁殖を目的に来園しました。お見合い直後から問題なく同居ができ、お互い太い尾をシンクロさせて振り合うなど仲良い姿を見せてくれました。二世誕生が強く期待され、昨年五月一日付のこのコーナーでも、記事にしていました。 我々飼育関係者にとってラカーユは待望の赤ちゃんです。暖かい日には屋外ケージで遊ぶかわいい姿が増えると思います。どうぞやさしく見守ってあげて下さい。 当センターではこのヒゲサキの他にもワオキツネザル、アヌビスヒヒなどの赤ちゃんが誕生しています。春の一日、どうぞかわいいサルの赤ちゃんに会いに来て下さい。(2014.3.26) |
この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。
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