おさる獣医師の動物園歳時記
いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。
![]() 「元気に自由に動きまわるサルたちの自然な姿をより近くで体感してもらおう!」。 60周年を迎える日本モンキーセンターのひとつの大きなテーマです。春の行楽シーズンを前に、附属動物園部の飼育員たちが手作業で施設改修を行ってくれました。今日は新たにできた「リスザルの島アドベンチャー・コース」をご紹介しましょう。 リスザルの島の施設は、面積およそ1500平米。周囲が水濠で囲まれ島内はこんもりとした緑豊かな林になっています(写真)。リスザルは元来泳ぐことができないようですので、島から出て行ってしまうことはありません。現在15頭のリスザルが放飼されており、オープン中は飼育スタッフも常駐しています。これまで島の半周を巡る木道からサルの様子を観察していただいておりましたが、この度アドベンチャー・コースとして今まで入れなかったエリアに1本の散策路を設けました。 土むき出しの地面にはウネウネと木の根が這い、大きな切り株が通路のど真ん中に突き出ています。散策路に入ると、木々で囲まれた空間が広がり、独特の雰囲気があります。林の中でリスザルを見つけるコツは、サルの「鳴き声」とともに「揺れる木枝」を捜すこと、そして広場にサルが降りてくるのを「根気強く待つ!」ことです。 啓蟄が過ぎたころから島内には小動物が目覚めはじめています。リスザル達は頭上空間を枝から枝へと動き回っていますが、時には地面に降りては落ち葉を払い、虫を探す姿を見ることができます。虫を探す理由は?食べるため!です。おいしそうに音を立てて食べますが、虫のとがった堅い足で、口の中をケガしないかいつも心配しています。そして虫を食べる瞬間は、きっと目をつむりますので(本当?)ぜひお近くでご覧ください。 私たちはこうしたサルたちが見せるこの自然な姿を、これからも持続的に皆さまにご覧いただきたいと考えております。このため、いくつかのご協力をお願いしております。こののち、過度な踏圧で木の根をいためてしまうことのないように、この散策路の入場を一部制限させていただくこともでてくるかもしれません。春休み以降にこのアドベンチャー・コースを目当てでご来園の際には、どうぞお問合せください。(2016.3.23) |
この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。
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