おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
日本モンキーセンターは今月17日に創立60周年を迎えます。
附属世界サル類動物園も、自然系の博物館として長らく地元の
みなさまに支えられ、今日まで活動を続けてくることができま
した。このコーナーの原稿は、中日新聞「愛ラブ自然」に掲載
されており、新聞の読者の方からも読後の感想をいただいたり、
記事にあるサルを実際に訪ねていただいたりと、多くのご支援
を頂戴しました。心より感謝申し上げます。



サル類動物園のルーツは、ヤクニホンザルを日本で初めて放飼
展示した「犬山野猿公苑」といってもいいでしょう。ヤクニホ
ンザルの飼育の歴史は、そのままモンキーセンターの歴史と重
なります。平成に入って現在の「モンキーバレイ」に引っ越し
ましたが、最大で8世代を重ねた子々孫々が、ここでのびのび
と暮らしています。



動物園というと、晴れた日に訪れるものと思われがちですが、
長らくお付合いのあるお客様の中には、雨の日を選んでご来園
されるコアなファンもおみえです。ヤクニホンザルは雨の多い
九州、屋久島が原産です。体毛の雨粒は、身をひと降りするこ
とで簡単に振り払うことができ、彼らは雨を厭いません。コド
モたちは、雨の中を走り回り、オトナたちは毛繕いをしたり、
横になって休んだりと、個々の時間をすごしています。大あく
びをしてみせる者も居ますよ。



創立記念日の前後には、山極壽一博物館長(京大総長)の講演
会や慰霊祭など、いくつものイベントを企画しています。公式
ホームページなどでご案内しております。久しく行ってないな
あという方もおみえでしょう。どうぞ還暦を迎える日本モンキ
ーセンターにお越し下さい。
(2016.10.5.)


 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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