おさる獣医師の動物園歳時記
   【 焼き芋編 】

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です


世界サル類動物園モンキーバレイにて
ホクホクの焼き芋を頬張るヤクニホンザル
本当においしそうに食べる
たき火から出したてで、やけどしないか何時も心配なのだが
やけどになったサルはいない
(平成17年1月撮影)

サルだって/栗よりうまい/十三里。
恒例の冬の風物詩「たき火にあたるサル」では毎回最後に、
焼き芋を競って食べるヤクニホンザルの姿を観察できます。(写真)


十三里は、サツマイモや焼き芋の別名で、
栗(九里)より(四里)、からくる洒落だそうです。
古くからの庶民の味なのですが、
最近では高級焼き芋を出す専門店もあるように聞いています。


人同様栗よりうまいと思っているかどうかはわかりませんが、
サル達はたき火から出された焼き芋を
本当においしそうに食べています。
サツマイモは英語でスイートポテトと呼びますので、
甘さがうまさのポイントなのでしょう。

もともと生き物には、
甘いもの(うまいもの=高カロリー食)を求める習性が
本能として備わっています。
日本モンキーセンターではじっくり時間をかけて芋を焼きますので、
澱粉の糖化が十分に進み、
甘くておいしい焼き芋になっています。
毎回ふるまわれる十キロの焼き芋は、サル達にとっては本能をくすぐる絶好のおやつです。

火を恐れるはずの野生動物が自らたき火にあたる行動や、
熱々の焼き芋を素手で頬張る姿は、
海外では大変不思議(ミラクル)に思われています。


この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は同カットですがフルサイズの写真を用いたり、新たな写真を加えています。またテキストは加筆修正を加えています。


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