歯の形からみた化石霊長類の生態

 

清水 大輔

 

日本モンキーセンター

 

歯は身体の中で最も多く化石として発見される組織である。それは歯が身体の中で最も硬い組織だからだ。歯の化石は様々な情報を備えている重要な化石でもある。その動物の進化の道筋を示す系統学的な特徴やその動物の生活史を示す機能学的な特徴や痕跡によって歯は形作られている。この発表では機能学的な特徴や痕跡を霊長類歯牙化石から読み取り、その化石霊長類が生きていた時の生活史を復元することをめざす。歯から読み取ることのできるのは「食べること(食性)」にかかわる情報である。哺乳類化石や植物化石、地層によって明らかになった古環境情報と化石霊長類の食性情報を合わせることにより、どのような環境でどのような物を食べていたかを知ることが出来る。そのためには現生霊長類の食性と歯の形、両者の関係性をしっかり把握しなければならない。ここでは最古のコロブスであるマイクロコロブスに焦点を絞り、現生種との比較や古環境など様々な情報を基に彼らの食性を復元する。

 

 


世話人:市川光雄・清水大輔・大橋岳(日本モンキーセンター)




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