地層から読み取るケニア中・北部の古環境 酒井 哲弥 島根大学・総合理工学研究科 この研究では、重要な類人猿化石の発見があったケニア北部のサンブル丘陵と中部のナカリにおいて、1000万年前頃の環境と気候を地質調査に基づいて調べました。サンブル丘陵では約960万年前、乾燥した大地の広がる場に、湖が発達するようになったことが読み取れました。この時に乾燥した気候から雨期と乾期のはっきりした気候に変わったことが詳しい調査からわかりました。同じような変化が遠く離れたヒマラヤの麓でも同時に起きており、この変化は広域的な気候変化を反映していると思われます。サンブル丘陵の乾燥の時代に、ナカリでは湖の発達する、より湿潤な環境が広がっていました。2つの地域は50kmしか離れていませんが、当時の環境には大きな違いがありました。この違いの原因として、当時のナカリが火山に近く、標高の高い所に位置していたため、雨が降りやすかったことが考えられます。講演では地層をどのように読み解くかを含めてお話をします。 |