おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 
           

 今年も残すところ十日余りとなりました。慌ただしい毎日ではありますが、当園では秋に生まれた赤ちゃんがすくすく育つ様子をご覧いただけます。シャマン(フクロテナガザル)、クロミミマーモセット、ボウシテナガザル、アカテタマリンなどです。詳細はHP(FB)やメルマガでも公開しています。

 今回は、このうちビジターセンター内で飼育しているクロミミマーモセットをご紹介します。母親「カンナ」、父親「ミッド」との間に生まれた赤ちゃんは双子ちゃん。間もなく生後二カ月を迎えて独り歩きもできるようになっていますが、私が近付くと近くの両親におぶさりに行きます。餌の時間には、父親ミッドは赤ちゃんたちのおんぶ優先。カンナが先に食事に励んでいます。赤ちゃんをカンナに預けた後も、ミッドはカンナと赤ちゃんたちに寄り添い、授乳を覗き込んだり、毛繕いに励んだり。「イクメン」という単語が思わず出てくる光景です。父親が育児を分担するサルとして知られていますが、ミッドの育児ぶりが来館者に好感をもって見守られています。サルに学ぶ子育てはなかなか奥が深いものです。
 さて、この双子ちゃんたちですが、四カ月令を過ぎると自立をし、親と同じような生活ができるようになります。これからしばらくが、大事な時期です。この仔たちが暮らすビジターセンター内は暖かな館内施設となっていますので、「ウオーム・シェア」をしながらお子様の幸せや育児について考えてみませんか。
 今日、冬至(二十一日)からは、冬の風物詩「たき火にあたるサル」も始まっています。こちらは屋外ですが、十四時からは「ほかほかおイモタイム」でどうぞ温まっていって下さい。
(2012.12.21.)

 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


↓バックナンバーはコチラから↓
〜過去の動物歳時記「よもやま話」〜


 日本モンキーセンターTOP