おさる獣医師の動物園歳時記

いつもは裏方でサルの診療にあたっている「おさるの獣医師」が
緑豊かな動物園の自然と動物について
感じるままにシャッターをきり 書きとった「動物園歳時記」です。


 

赤ちゃんを背負う父親(右)とそれを眺める母親


日本モンキーセンターでは、4月23日にクロミミマーモセットの双子が生まれました。母親「シャシャ」(4歳)にとっては、昨年夏に引き続き、2回目の出産となります。クロミミマーモセットは、体長20cm、尾長30cm、体重200gほどの小型のサルです。生後1年半でおとなになって早熟の個体ではこのころ最初の出産をします。双子の出産が普通ですが、まれには三つ子もあります。多産の母親では、生涯で19頭の赤ちゃんを産んだ例があります。

改めて日本モンキーセンターの飼育データを紐解いてみると、クロミミマーモセットの飼育は1959年に海外から輸入されたのが始まりです。最初は分からないことが多くて飼うこと自体が大変だったようです。餌のメニューや与え方も手探りだったようで、「ウズラ卵、蒸したサツマイモ、リンゴ、落花生、カイコの蛹、チーズ、ビスケットを与えていた」との記述が残されていました。このあと高度成長期に入って安定的に入手可能な食材が増えて餌用昆虫やバナナを多用した時期もありました。課題となっていたクロミミマーモセットの繁殖が軌道に乗ったのは80年代の後半になってからです。

原産地であるブラジルで生態研究が進み、野生下のクロミミマーモセットが食べている餌の詳細が分かるようになりました。ガム(樹液)が7割、果実が3割、そのほかに昆虫などの小動物を食べる、と書かれた文献があります。日本モンキーセンターでも従来の餌のメニューを再考し、飼育下のクロミミマーモセットの栄養学について京都大学の研究者らと共同で研究を始めています。

クロミミマーモセットはとても美しいサルです。南米館までぜひ会いに来て下さい。
(2017.6.21)

 木村直人(日本モンキーセンター・獣医師)

この原稿は中日新聞愛知県広域近郷版に掲載された「愛ラブ自然」を元に
写真は違うカットを用い、テキストは加筆修正を加えています。


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