ごあいさつ

日本モンキーセンターは、1956年、(株)名古屋鉄道の財政的支援のもとに、サル(霊長類)の研究、供給、社会教育のために、日本唯一の霊長類学の総合的研究センターとして設立された財団法人です。その後、1967年に京都大学霊長類研究所が隣接して建てられ、研究の中心はそちらへ移りました。現在、日本モンキーセンターは、供給活動はやめ、サル類の「展示」と「社会教育」、「資料の保存と整理」、「研究」を4つの柱として活動をおこなっています。センターの施設としては、世界最大の霊長類の種数を誇り、国内では唯一、博物館指定を受ける「附属博物館世界サル類動物園」のほか、霊長類等の剥製、骨格標本、化石カースト、写真パネル、解説パネル、ビデオなどを展示し、講演会場を擁し博物館活動の中心的存在である「ビジターセンター」、病院、獣医室、動物収容棟、隔離検疫施設、解剖室等を備える病院棟、および、骨格・内臓・毛皮・DNA標本などの収蔵庫、標本閲覧室、同作製室などをもつ「バックヤード」、そして、所長室、研究員室、編集室、霊長類関係図書室、事務室等からなる「管理事務所」があります。センターは、こうした施設を使って、社会教育、学校と連携した教育、研究者を中心とした各種集会の主催・共催、などの博物館活動を活発に行っています。

日本モンキーセンターでなにを学ぶか

サル類(霊長類)に特化した動物園ですので、霊長類の進化と人類の起源を学習するのに最適です。「霊長類」と一口に言っても、小さなものでは体重数百グラムのピグミーマーモセットから大きいものでは二百キロ以上に達するゴリラまで、多様なサイズの動物が含まれます。元々の生息地も熱帯雨林から乾燥した草原まで変化に富んでおり、シルバールトンのような樹上性のサルもいれば、ゲラダヒヒのような地上性のサルもいます。運動様式も両腕で素早く腕渡りするテナガザル、両腕と尾を使って移動するクモザル、四足歩行するオナガザルなどさまざまです。日本モンキーセンターでは、サルがすむ環境もビデオやパネルでおみせしています。このように多岐に分化した霊長類を観察することを通して、生物多様性を学ぶことができます。

日本モンキーセンターの研究活動

モンキーセンターで行っている主な研究活動は、次のようなものです。

アフリカのチンパンジー、ボノボ等の生態学的・行動学的研究及び大型類人猿の保全に関する研究
主として、ギニアのボッソウ地区やコンゴ民主共和国の赤道州、タンザニアのマハレ国立公園、ガボンのムカラバ国立公園などで、大学の研究者と共同して、チンパンジーやボノボの文化的行動や、チンパンジーとゴリラの種間関係を調べています。また、類人猿の分布・個体数密度に関する基礎研究、疾病が類人猿の個体数に与える影響、エコツーリズム、人間活動が類人猿の生存に与える影響など、大型類人猿の保全に関する研究活動をすすめています。


アフリカ中新世の類人猿の化石の研究
アフリカ大陸は類人猿から分岐した初期人類が最初に誕生したところです。ヒトと大型類人猿の共通祖先の進化を調べるために、おもに、ケニヤで化石霊長類の発掘を目指した調査をおこなっています。


アフリカ熱帯雨林の保護と住民生活の両立に関する研究
世界第2位の規模を誇る中央アフリカの熱帯雨林は、大型類人猿等の野生霊長類の宝庫ですが、伐採事業や農業開発、鉱山開発のために森林破壊が進んでいます。この地域の熱帯雨林を保護するとともに、住民がある程度の非木材森林資源を利用し、保護計画の積極的担い手として活動できるような仕組みを求めて、住民生活と野生生物の共存に関する研究をすすめています。

関連リンク

財団法人日本モンキーセンター所長 市川光雄

市川のプロフィールと活動内容


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