アフリカ学の出発

−初期のアフリカ類人猿調査隊のことなど−

 

西邨 顕達

 

同志社大学

 

「日本モンキーセンターゴリラ調査隊(13次、19581960)」の成果を踏まえて、1961年今西錦司を代表者に「京都大学アフリカ類人猿学術調査隊Kyoto University African Primate Expedition (KUAPE)」(第1次隊)が発足した。KUAPEは第4次隊(1965)から代表者が伊谷純一郎に変り、第6次隊(1967)まで続く。私はKUAPE1次および第2次隊に参加した。ここでは主に2つのことを述べたい。第一は半世紀を越すアフリカ類人猿調査史の最初10年間のこと。この間に対象がゴリラからチンパンジーに変り、チンパンジーは数年の試行を経て、餌づけが成功し、社会構造の詳細な解明が始まった。

第二はこの調査隊によって類人猿だけでなく、アフリカに関する様々な分野の研究、「アフリカ学」、が始まった、ということ。1960年代前半までアフリカにおける学術調査は他になかったし、KUAPE隊員には霊長類の研究者以外に様々な分野の研究者が含まれていた。このような調査隊を組織した今西錦司という人物の紹介もしたい。

 

 


世話人:市川光雄・清水大輔・大橋岳(日本モンキーセンター)




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