チンパンジーに食べられるサル:

アカコロブスの生態と対チンパンジー戦略

 

五百部 裕

 

椙山女学園大学

 

チンパンジーは、同所的に生息する霊長類や有蹄類を狩猟・肉食することが知られている。そして、チンパンジーの長期継続調査が行われているタンザニアのマハレやゴンベ、ウガンダのキバレ、コートジボアールのタイでは、アカコロブスと呼ばれるオナガザル科のサルがチンパンジーにもっともよく食べられていることが明らかになっている。ではなぜ、チンパンジーはアカコロブスを好むのか? アカコロブスはなにもせずに、ただチンパンジーに食べられるだけなのか? チンパンジーによる狩猟はアカコロブス個体群の減少をもたらさないのか? こうした点をアカコロブスや他のオナガザル科霊長類の側から研究した成果に基づき解説する。また合わせて、アカコロブスをはじめとするアフリカ産オナガザル科霊長類の社会生態的研究が、人類の進化史や霊長類の種分化の解明においても重要な役割を果たす可能性を持っていることについても紹介する。

 

 


世話人:市川光雄・清水大輔・大橋岳(日本モンキーセンター)




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