【今月マンドリル推し】S家のみんなへ

アフリカセンター担当:廣澤

モンキーセンターのマンドリルは、『デ』から始まる名前の個体が多いです。
デコ、ディディ、デイ、デラ、ディスコ。なんと3分の1が『デ』始まりです。!!
こどもが生まれたら、母親の名前から一字もらって命名する習慣があるからなのですが、

担当になっていざ個体識別をはじめると、顔の見分けがつくようになる以前の問題として、「似たような名前ばかりで頭が混乱する問題」に直面します。
とくにデイ、デラ、ディスコなどの若い個体は、初めは見分けるのも難しいので、しょっちゅう名前を間違えられてしまうことも。。。

そんなD家の話はまた今度にしておいて、今回はS家のみんなを紹介します。

S家は、サヤコ母さんと、サム、サンフジ、サユミがいます。

サヤコさんは、このお方。

D家のレディースたちは、群れのビックママことデコさんの御威光をかさにきて、我の強さが半端ないのですが(アルファオスのキンシャサもびっくりするくらい)、

サヤコさんたちS家の皆さんは、周りを見て一歩引くタイプ。

サヤコが群れの中で1番順位が低いこともあり、そうした振る舞いで仲間たちとうまくつきあっているようす。

そしてサヤコさんは、よく娘や息子たちをグルーミングしています。愛情たっぷりなのか、サヤコさんにグルーミングされると、ゴミだけじゃなく頭頂部の毛まで抜かれます(笑)。困った困った。

そんな行き過ぎなグルーミングをするサヤコさんですが、まだニースケが群れにいたころ、ニースケのこともよくグルーミングしてあげていました。当時キンシャサ(アルファオス)に目をつけられ始め、群れのなかで居心地悪そうにしていることが増えていたニースケにとって、サヤコにグルーミングされる時間は穏やかなときだったと思います。ありがとう、サヤコさん。

そんなおっとり穏やかなサヤコさんですが、食事の時にはかなりセカセカ動きます。みんなが夢中でフィーダーから食べものを探しているなか、サヤコさんは部屋の端から端へ、皆の間を縫って走りぬけます。まるで馬のような軽快さです。きっと本人は、強い個体に見つかって難癖つけられないように懸命なのだと思いますが、観察している私には、とにかく目を引く動きです。動きで個体識別できちゃうので、みなさんも食事どきにサヤコを探してみてください。

サヤコさんの末娘、2015年生まれのサユミちゃんも、最近かなり大人びてきました。明確な順位などなかった子ども時代が終わり、サユミちゃんも母と同じく低くめの順位に定着しつつあります。同い年で姉妹のように育ったディスコ(母はディディ)に威圧され退散するサユミちゃんをみると、ちょっと寂しい気持ちになりますが、大人になったんだなぁと思うことにしています。

そして、大人になったと思うポイントがもう1つ。サヤコとケンカをするようになったこと。順位低めなサユミちゃんが堂々とケンカできる相手というのが、実は母なのです。たまにふたりがつかみ合ってグルグル振り回しあってます。母子で何やってるんだ、と思いますが、お互い「親しい母になら(娘になら)文句やワガママを言える」といったところでしょうか。守り守られるだけの関係の母子ではなくなったんだなぁと思うしだいです。

そして、サユミちゃんがケンカを売れる相手がもうひとりいて、兄のサムです。

サユミの子育て中、ふたりの兄サムとサンフジにもたくさんの愛情グルーミングを注いでいたサヤコ母さんのおかげか、4歳年の離れた兄妹の間にも、しっかり親しい存在としての認識があるようです。

サムは、今8歳。心も体も成長盛りです。母サヤコさんが放任主義だったのか、弟妹たちができて2歳の頃から放任されたからか、サムは以前から大人びた印象でした。同い年のヤッシや年上のニースケ (今は非展示エリアでオスたちだけで生活しています。)と比べると、子どもたち同士でわちゃわちゃ遊ぶ姿はあまりなく、キンシャサ(大人のオス)のそばでその立ち振る舞いを観察しているような、比較的物怖じせずに頻繁に挨拶にいく姿を思い出します。5〜6歳のころ。

そんな、もとから大人びた子どもが、最近めっきり若オスの様相です。若いメスとグルーミングしたり、キンシャサ(アルファオス)に乱暴にあしらわれたメスの肩をもってキンシャサに「ブォッ」と文句を言ってみたり。

キンシャサの逆鱗に触れないかと、ヒヤヒヤすることがあります。

キンシャサがのしのしと近づくと距離をとる(場所を譲る)、ちょっと追われるとすぐ逃げるサムですが、最近はメスたちを味方につけようと励んでいるんじゃないかと勘ぐってしまいます。

年齢のわりに(大人びた性格のわりに)ずんぐりむっくり体形のサムくん、ディスコとイチャつくのは、キンシャサにバレないようにお願いします。

さて最後は、サンフジですね。いつも口が空いてるサンフジは、サヤコさん譲りの一歩引いて周りを確認してから動く慎重な性格。でした。過去形。

ガボンとヤッシとニコンとオス4個体で生活していたころは、ガボンのデカさと、ヤッシ&ニコンのイケイケコンビに押され気味で、ひとり距離を取っていたように見えたサンフジ。

ニースケが越してくるのに伴って、繊細なガボンとのふたり暮らしになりました。やはりガボンには一目置いて距離を取りつつも、隣に越してきたニースケに対しては、別部屋にいるからこその余裕からか、フェンスに飛び蹴りして相手をビビらせるようなディスプレイをすることも最近増えてきました。いつのまにか、おっとりサンちゃんから若オスらしく成長しているようす。犬歯もトッキントッキンで、いつもニョキッと口からのぞかせています。まだまだガボンさんのぶっとい犬歯には遠く及びませんが、日々たくましく、図々しくなっているサンフジに、スタッフは(たぶんガボンも)びっくりしています。成長著しいマンドリルたちを通して、学びの日々です。