【今月フクロテナガザル推し】エコドームの家族紹介!

北園担当:石田

前回の記事ではモンキーセンターで暮らしているフクロテナガザル10頭のうち、ビックループで暮らしている5頭を紹介しました。

 

今回はエコドームと呼ばれる施設で暮らしている5頭を紹介します。

エコドーム放飼場

 

  

エコドームでは5頭のフクロテナガザルが3頭と2頭に分かれて生活しています。

以前にも紹介したように、テナガザルの仲間は両親とその子どもで形成される、「核家族」を作って暮らします。それ以外の個体と暮らすことはありません。

そして、血の繋がった親子であっても、子どもが成熟した場合は両親と暮らしてゆくことは困難です。

つまり同性の成熟した個体が2頭以上いっしょに暮らすのは困難ということです。

 

なのでモンキーセンターでも彼らの社会性に合わせ、10頭のフクロテナガザルたちを3つのグループに分けています。

 

 

 

前置きが長くなりましたが、さっそくエコドームで暮らしている個体について紹介したいと思います。

まずは3頭の家族から。

※エコドームは施設の構造上、写真がめちゃめちゃ取りずらいです。あまりいい写真がないので先に謝らせていただきます。

 

 

【お父さん】

ドリアン♂

2005年10月30日 生まれ(14歳)

遊ぶことが大好きな若いお父さん。

前回紹介した、アボとリンダの3番目の子どもです。

 

好奇心旺盛で、新しい遊具を設置したりすると、すぐに慣れて一番に遊び始めます。

それなのに、何故かカメラは嫌いで、向けると激ヒキしてきます。

カメラを向けて逃げ出す瞬間のドリアンです。

 

娘のメロン♀(後で出てきます)にすごく優しくて、やんちゃなメロンの激しい遊びによく付き合ってくれています。なんならドリアンから誘うレベル。

 

ちなみに私からおやつを貰うときは「握手する」という謎のルールがあります。

 

 

【お母さん】

マユ♀

1999年1月21日 生まれ(21歳)

ビックループで暮らすリンダ♀の妹にあたります。

なので、ペア相手のドリアンとは叔母と甥っ子の関係になります。

※血統上あまりよくないので、現在は薬による避妊をおこなっています。

 

リンダに似て、あまり前に出てこず、主張の少ないタイプ。

 

ですが、ご飯のときになると性格が激変します。

具体的にはやばいぐらい、「のど」で音を鳴らしてきます。

音にすると「ヴーッ!ヴーッ!ヴーッ!」って感じで、どのフクロテナガザルも何かを要求するときに鳴らす音なんですが、これがマユは他個体の比じゃないです。

もらえるまで喧しいぐらい鳴らしてくるんで、いつも負けておやつを渡してしまいます・・・

今度録音できたら紹介しますね。

 

 

【娘】

メロン♀

2014年9月4日 生まれ(5歳)

荒木さんの記事にも登場したやんちゃ娘です。

お父さんのドリアンに似て、何にでも興味を示すタイプです。

 

現在は両親のもとですくすく成長中のメロンですが、実は生後2か月の頃から生後9ヵ月までは人工哺育で育てられました。

メロンは生後2カ月までは、母親のマユに育てられましたが、ある日突然、父親のドリアンに抱かれるようになりました。

ドリアンはしっかり大事に抱いていたのですが、母親のマユが取り戻さなかったため、母乳が飲めず衰弱してしまいました。

命の危険があったため、やむおえず人工哺育に切り替えました。

 

撮影:打越万喜子

人工哺育は適切に行わないと、その種本来の社会性を失わせてしまう危険性があります。

ヒトの手で育てられたことにより、本来であれば幼いころに母親や同種の仲間から学ぶはずであった、挨拶や遊びなど、他個体と暮らしていくうえで必要不可欠な社会的能力が十分に身につかないからです。

社会性の発達した霊長類(サルの仲間)ではそれが顕著に現れます。

一生、その個体が死ぬまでヒトが寄り添って一緒に暮らしてゆくならば、話は別かもしれません。しかし、人工哺育個体が成長し、力も強くなり、ヒトの手には負えなってしまったが、他の仲間と暮らすこともできない為、余生を1頭で暮らすしかなくなってしまうケースも存在します。

 

それを防ぐため、メロンは人工哺育となった翌日から毎日両親との面会やふれあいの時間を作りました。

徐々に同居時間なども伸ばし、最終的に自分だけで自由に移動したりできるようになった生後9ヵ月(人口哺育期間:約7ヵ月)の頃に完全に親元に戻すことができました。

撮影:打越万喜子

 

現在では、本当の両親のもとで立派にフクロテナガザルとして暮らしています。

 

 

簡潔にメロンの経歴をつづりましたが、本当にいろいろなことがありました。

彼女の人工哺育~群れ戻しまで関わった身としては、彼女がオトナのメスになり、いつか子どもができて、立派に子育てする。なんて日が来たら泣いちゃうかもしれませんね。

実際まだ私に子供はいませんが、すでに親心を経験する事ができました。

 

 

 

 

 

かなり濃い話でしたが、まだブログは続きます!

最後にエコドームで暮らすもう一つペアを紹介します。

この2頭は本来のオスメスペアではなく、メスの「同性ペア」になります。関係としては叔母と姪っ子になります。

モンキーセンターには3つのフクロテナガザルの家族に対し、外の運動場が2つしかありません。なので、心苦しいですが、この2頭には多くの時間を室内ですごしてもらっています。

 

【叔母】

イチゴ♀

2001年5月21日 生まれ(18歳)

アボとリンダの最初の子どもです。

成長に伴い、家族から離れて姪のピーチ♀(後で出てきます)と暮らしています。

表情の変化が少なくツンツンしてそうに見えますが、とても穏やかで心優しい子です。

ペアの相手がおらず、長らく単独で暮らしていましたが、2018年からピーチと暮らし始めました。

本来であればメス同士の同居は困難で、なおかつ性格の難しいピーチ(理由も後ほど紹介します)をやさしく受け入れてくれました。

ピーチ♀(左)とイチゴ♀(右) 打越さん撮影

 

 

【姪】

ピーチ♀

2012年6月22日 生まれ(7歳)

相手によってだいぶ態度を変えますが、私にとってはめちゃめちゃキュートな女の子。

ドリアンとマユの最初の子どもです。

 

彼女もメロンと同じく人工哺育で育ちました。また「隻腕」というハンディキャップを背負っています。

ピーチに経歴などについて以前まとめた記事があるので、是非そちらを読んでいただきたいです。

リンクはこちら

 

 

最近では2頭で笑いながら遊んでいる様子や寄り添っている様子なんかも頻繁に見られるようになってきました。

 

 

また、気候の落ち着いたあたたかい季節には限定的にではありますが、外にでて過ごしたりもしています。

普段はなかなかご覧いただけませんが、タイミングが合えば、2頭に会えるかもしれません。

イチゴ♀

 

これからも彼女たちにとって良い環境となるように、考えて、実行していきたいと思います。

あたたかく見守ってください。

 

 

 

 

 

毎度長くなってしまって申し訳ないです。

以上で、モンキーセンターに暮らすフクロテナガザル全個体を紹介し終えました!

そして、2月のフクロテナガザル推しももう終わりです。

これを機に、少しでもフクロテナガザルに興味を持っていただけていれば嬉しいです。

最後までお付き合いいただきありがとうございました!

今後ともよろしくお願いいたします!

 

 

フォルダを漁っていたら、幼い頃のライチ♂の写真が出てきました。

めちゃんこ可愛いけど、この頃から頭がでかい(笑)