アフリカ館担当:辻内
アビシニアコロブスのキクマサ♂が6/11に
天国へ旅立ちました。
腸重積による腸閉塞。
とても辛い状況で、身体は食べ物も受けつけず。日に日に弱っていく中、それでも彼は何度も食べ物を口に入れました。生きよう、と。
5時間半にも渡る大手術。
キクマサは乗り切り、目を覚ましてくれました。
でも、体力の限界だったキクマサを神様は連れていってしまいました。
最後の最後まで本当に強いキクマサでした。
飼育員になって、命の灯火が消える瞬間に立ち会うことも幾度と経験しました。
悲しくて、寂しくて、悔しくて、辛くて辛くて、今までこうゆう場でお話しさせていただく事はありませんでした。
キクマサと、キクマサを愛してくれた方々に、伝えたいです。
キクマサは、18年前の9月8日に、モンキーセンターで生まれました。
イイチコのお父さんです。
そして、イロハ、レナのお父さんです。
出逢ったときには、彼はすでにアビシニアコロブス一家の大黒柱でした。
初めてキクマサに逢ったとき、
なんて可愛い顔なんだ!とハートを射抜かれました。
サルの群れの大黒柱って、勝手にゴリゴリなイメージだったので、メスの誰よりも可愛い顔の大黒柱て。反則でしょ。
可愛いのは顔だけではなくて、
イロハやレナとひゃっひゃ言って全力で遊んじゃう、おキク。
子供たちと遊ぶ姿は、まるで少年に返ったようで、とても可愛かった。
とても優しく、
(イロハに葉っぱを取られそうなのを必死で阻止するおキク。)
そしていつもどしっと構えていてくれる、頼もしい存在。
イイチコが生まれると、抱かせてくれーと何度もチャレンジするのに、なかなかイイチコを抱かせてもらえず。
女子会の輪に入れない、おキク。
それもそのはず、個体カード(彼の生まれてからの記録の書いてあるカード)を見ると、
2003年にあかんぼう泥棒で現行犯逮捕されてます。(11月19日母親からあかんぼうを奪い抱く。母親に返さないので捕獲と書いてありました。)
本当、昔からこどもが好きだったんですね。
メスたちの隙を見て
イイチコと遊ぶおキク。
お隣のアンゴラコロブスのポールと競うように、あなたのラウドコールが轟く朝が、私の朝でした。
本当にね、かっこよかった。
キクマサがいないコロブス一家は、以前にも増して夕方全然帰ってきてくれません。キクマサの存在を感じます。
キクマサが繋いでくれた命を、この先も繋いでいきたいと思います。
おキク、ありがとう。
安らかに。