今回はバックヤードでくらす動物たちの近況をご紹介します。
※どなたでもご覧いただけます。
こんにちは。バックヤード担当の奥村です。
まず、11月28日にかみね動物園さんからお引っ越ししてきたメスのマンドリルのリエルから。
陸路の長旅での疲れや、新しい環境に戸惑ったり、警戒させてしまわないか、という思いもありながら到着を待っておりましたが、着いてすぐにおイモをバリバリと。

召し上がっていただけました。
その後も用意していたエサを全部食べくれ、ずいぶんと落ち着いた様子、、、

安定感に驚きを隠せませんが、元気な様子で、無事到着してくれました。
検疫の期間中はバックヤードで過ごしてもらう予定となっています。
続いて、ヤクシマザルのタイマツ&ノンタン

今年も越冬のためタップ、そしてヒマワリという個体にモンキーバレイからバックヤードへ移動してもらいました。
タイマツとタップは昨年も同じケージ内で同居の経験があったため、最初はケージを仕切り、タイマツ&タップとノンタン&ヒマワリで組み分けしていたのですが、ノンタンがかなり強気でヒマワリの採食に影響がみられたため、現在は

タップ(左:逆光の影響あり)&ヒマワリ(右)
のペアに変更して様子をみております。
ヒマワリからタップへのグルーミングも観察でき、落ち着いた様子です。
そして、同じくヤクシマザルではありますが、尻だこに傷ができ、治療のための投薬、そしてお尻チェックトレーニングを実施しておりました、ヒートなのですが、改善がみられず入院することとなりました。

今年の8月から傷の治療のため投薬を開始していたのですが、尻だこという箇所は頻繁に接地する所ということもあり、かさぶたができては剥がれ、治ってきたかと思えば、また出血がありと、なかなか完治せず。
また、自分で患部をいじってしまうこともあるため、鎮静剤の投与も長期間続いていました。
ヒートは屋外飼育施設のヤクシマザル6頭のグループの大黒柱的存在でもあったため、なんとか群れに在籍しながらの治療を続けたいという思いもあったのですが、傷の様子が改善されないため、入院し治療をおこなっています。
両手にギプスを装着し、1週間様子をみてみることになったのですが、改善はみられませんでした。
引き続き、注射や投薬などで治療をしてもらっています。
これまでに、床面にクッションを敷いたり。
掃除のたびにクッションの交換をするのですが、床下が濡れているよりは、乾いている方が患部の状態を良く保てるため、小型扇風機を絶妙な配置であててみたり。
少しでも気がまぎれるようにと、さまざまな種類のエサや枝葉をいれたり、専用のフィーダーなんかも試しています。

本来はエサの入ったボトルに

手をつっこんでもらい

『箱の中身はなんだろか?』的な要素の強いフィーダーのため
ボトルも透明でないものの方が良いのですが、段階的に、意欲的に取り組んでもらえるように調整中です!
手を突っ込む部分の隙間(画像の黄色線部分)も

最初はボトルのなか丸見えで格子幅いっぱいに隙間とって設置してみました。嗜好性の高いエサだと、ヒートもボトルに手を突っ込んでくれました。そこで段階を上げてビラビラさせた消防ホースで隙間の幅を狭めてみたのですが、、、
「そんなんだったらやっぱいいです」といった感じで意欲ゼロになってしまったので、少し隙間を復活させて先の画像のような状態で、ひとまず慣れてもらうことにしました。
そんなことを試している間に、先日患部確認のための検査があったのですが、本当に若干ではありますが改善の兆しがみられました。
引き続き入院環境の試行錯誤をしつつも、尻だこの傷の経過をみていきたいと思っています。
そして、最後に。
ベルベットモンキーのシン。

重度の糖尿病であり、視力もほとんどなく、1988年に来園と推定35歳以上の高齢個体。
だけれども、同じく視力の低い、またはほとんどない、別種であるカニクイザルのツルとツミナと、一緒にすごしてくれていたシン。

糖尿病の治療は数年にわたり継続しておこなってもらっていたのですが、昨年から時折採食にむらがあったり、また尾の傷がなかなか治らなかったりと、入院退院をすることもありながら、なんとか3頭でくらせるときもありました。
しかし、今年の11月の初め頃から再び病院でくらし、経過を観察することになりました。
口元にエサを持っていかないとほとんど食べてくれない日もありました。
シンの身体を入念にマッサージすると、思い出したかのように、勢いよく食べ始めたり。
マッサージしてほしいところに、ちょっとずつシンが身体を寄せてきてくれるので、言うがままではないですが、ひととおりマッサージしたり、ブラシングしたり。給餌もタイミング勝負となる日もありました。
亡くなる日の数日前には食欲がいったん戻り、自らムシイモをモリモリと食べてくれて、めちゃくちゃうれしかったのですが、

11月28日の朝
病院にて息を引きとりました。死因は老衰でした。
バックヤードでは病気やケガなど様々な事情をかかえる動物たちが多く、くらしています。
日々の作業のなか、たくさんの方達からのご支援に助けていただきながら。
また、各所担当者からの協力に支えてもらいながら。
これからもそんな動物たちに少しでも良い環境で、
より良いくらしのなかですごしてもらえるよう、
力を注いでいきたいと思います。
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※オンライサロン『猿分補給』では、モンキーセンターのスタッフたちから、毎日いろいろな記事をメンバーの皆さまにお届けしています。
気になった方はぜひ覗いてみてください。
https://community.camp-fire.jp/projects/373624/preview?token=3pppyarn
奥村さん、BYの近況をお知らせ頂きありがとうございます。シンさんの訃報は残念でなりませんが、ツルさん、ツミナさんと一緒に暮らせた事、猿分補給の記事で目にする度に、応猿していました。全ての動物達が心穏やかに暮らせる様に、お祈りしています。
コメントいただきありがとうございます。
これからもBYでくらす動物たちの様子をお届けできればと思っております。(奥村)