【生息地研修報告】金華山 〜その①〜

6月24日から27日までの4日間、宮城県石巻市の金華山へ研修に行ってきました。

今回はそのご報告第1弾です。※どなたでもご覧いただけます。

こんにちは、奥村です。7月19日から始まる特別展「海とサルの交わるところ」。

※詳細はこちらから→https://www.j-monkey.jp/event/special/index.html

その開催にむけて、島という環境で海とかかわりながらくらす金華山のニホンザルを観察してきました。

 

生息地研修として、これまでに様々な場所に行かせてもらったのですが金華山は今回が初めてです。

 

そもそも生息地研修とは2014年にモンキーセンターが公益化した頃から始まったもので、

行き先は国内では宮崎県幸島、鹿児島県屋久島など、海外ではアフリカ、東南アジア、南米、

最近ではヨーロッパの動物園など、様々です。

 

モンキーセンターは「自然への窓」としての動物園を目指しており、

飼育されている動物の自然な生態や行動が見られるような環境を整え、

園内の動物たちの先に本来の生息地の姿が窺えるような、

さらには地球環境の現状に想いを馳せることができるような動物園を目指しています。

飼育員のみならず、すべてのスタッフが、世界各地のさまざまな霊長類の生息環境の理解とともに、

日本と世界の霊長類学の歴史と現時点での到達点について研鑽を積むことが、研修の目的のひとつです。

 

生息地研修が始まった2014年から、動物たちがくらすエリアに樹木が増えたり、

コンクリートの床が土になったり、立体的な構造物や、消防ホース、麻袋のハンモックなど

次々と加わり、施設は古いながらも少しずつ環境が変わっていったのではないかと思います。

あれから11年。さらに古くなった施設と日々戦いながらも、多くの方に助けていただきながら、

少しずつではありますが必死になって環境を整え続けているところです。

 

 

野生のニホンザルの生息地、、、金華山。

犬山近辺の方は金華山というと岐阜のロープウェーやリスのイメージが強いかもしれません。

今回赴いたのはココです↓

金華山という名前ですが 単なる山ではなく、牡鹿半島から最短距離約700m離れた島で、

面積は10km2、標高445m、形はパプリカに似ている気がします。

古くから島全体が神域として保護され、現在は三陸復興国立公園の一部となっています。

現在、島の人口は金華山黄金山神社という煌びやかな名前の神社関係者のみ。

金華山において野生ニホンザルの調査研究が始められたのが1962年から。

霊長類学においても、国内のとても重要なフィールドのひとつとなっています。

 

ニホンザルがいつごろ、どのように金華山でくらすようになったかは明らかではないそうですが、

地元の伝承に「ずっと昔、サルはシカの角につかまって島にわたり、そこに棲みついた」

という話があるようです。

 

 

思うところはいろいろありますが、ここからは研修のお話です。

金華山は島といっても標高445m、宿泊地は島の西側で、ニホンザルを観察したいポイントは

東側の海岸にあります。そのためどこかしらの尾根を越える必要がでてきます。

奥村は山登りが好きな方なので、ピッケル(がっつり使ったことはないですが)くらいまでの

装備は整えているのですが、しっかり準備をして研修に臨みました。

山の調査準備としては、奥村が熊本県に滞在していた頃、標高406mの三角岳という、

金華山と似た標高の山によく登っていたこともあり、だいたいの感覚は持っているつもりでした。

それほど高くない山でも海抜0mから登ると1〜1.5時間ほどかかります。

 

ただ今回の金華山の4日間の日程は天気予報が全日雨、、、

よっぽどのことがない限り、雨の日の登山は避けてきた(登頂しても景色めちゃくちゃ悪いので)のですが、こればかりは仕方がなく、そして時期的に【ヤマビル】も多く出るそうで(この件については改めてご紹介したいと思います)その対策もしていきました。

金華山に到着するまでのみちのりはこんな感じです。

朝の6時から電車に乗って、金華山に到着したのが15時過ぎくらいでした。

乗り物に乗っているのはあわせて6時間くらいなのですが、

この各駅停車にだいぶやられました。

座っているだけで、遠くまで運ばれて、時間が過ぎていく。

当然といえば当然なのですが、、、

飛行機や新幹線、車の運転は何時間でもあまり苦にならないのですが、

各駅の破壊力というか、勝手ながらに感じてしまう無常感みたいなものもありまして。

お家を出てから7時間。

ようやく金華山という文字の入った看板

を見た時のやっと出会えました感は一入でした。

 

そんな心情もあり、金華山最寄の鮎川港からの船は

雨が止み、船のこんな場所に乗ることもできたこともあり

 

目的地の金華山を目の前にして

奥村が一段と様子のおかしなテンションになってしまったのは

同行メンバーの知るところです。

 

 

金華山に到着して、天気は一変。

晴れ間も見えるようになってきました。

同行メンバーは赤見さんと土性さんのスタメン(スタミナ盛り盛りメンバー)です。

 

神社へと登っていく道でさっそくニホンザルを発見。

宿泊は神社を利用するため、荷物を置いて装備を整え、ニホンザルを追跡することに。

 

 

島の北西の鹿山という場所で20頭以上の群れに出会うことができました。

 

 

 

鹿山というだけあってシカもたくさんおり(島中にいるのですが)、

一面にひろがる金華芝や、メギなどが茂る地帯を採食しながら移動する

ニホンザルたちの様子をみることができました。

金華山には現在6群が確認されており、遭遇した場所からして、A群とよばれる群れのようでした。

6群のなかでは、比較的ヒトなれしている群れという情報があったのですが、

餌付けもされていない野生の群れということもあり、慎重に距離をとって観察しました。

 

 

 

望遠レンズで採食の様子の撮影にも成功しました。

 

 

 

 

神社(宿泊地)での夕食の時間が5時半と決まっていたため、

もっともっと観察を続けたかったのですが、

うしろ髪をひかれる思いで、この日はポイントをあとにしました。

 

 

【生息地研修報告】金華山 〜その①〜

最後の最後に少しだけニホンザルの紹介となってしまいましたが、今回はこのへんで。

次回以降に野生の猿分をたっぷりお届けできればと思います。

 

特別展「海とサルの交わるところ」

そして、毎夏恒例【甲子猿】と夏もイベント盛りだくさんなモンキーセンターへ

ぜひ遊びにきてください。

 

 

 

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※オンライサロン『猿分補給』では、モンキーセンターのスタッフたちから、

日々いろいろな記事をメンバーの皆さまにお届けしています。

気になった方はぜひ覗いてみてください。

https://community.camp-fire.jp/projects/373624/preview?token=3pppyarn


 

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