アフリカ館担当:辻内
7月12日、アビシニアコロブスのレモンが天国へ旅立ちました。
このことはモンキーセンターのホームページの片隅に載っているだけでしたが、ここ数日の間に園内でたくさんの方に、レモンのこと、声をかけていただきました。
みなさま、レモンを愛してくださり本当にありがとうございました。
絶好調でも絶不調な顔。
私のレモンの第一印象です。
彼女は華奢で、猫背で、
(出会った当初。うしろ姿でもわかりますね、左から2番目)
どこか気だるそうな、
(寝転んでるのがデフォルト。)
そしてなんとなーくひとりでいるのを好む、そんな個体でした。
(みんなは丸太に夢中。レモンは左にぎりぎり背中写ってる。)
彼女は見た目通り?体が弱く、調子を崩すこともしばしば。
でもいつも数日で復活。
そんなレモンですが、4年前に大きな出来事がありました。
2015年3月、体調を崩し入院。検査の結果、お腹の中で胎児が死んでいることがわかりました。
帝王切開による摘出。とてもとても大がかりな手術でした。彼女は手術中40分もの間、自発呼吸が止まりました。術後も油断できない日々が続きましたが、ついに群れに帰る日を迎えました。
あの日、ひさびさに再会した仲間を、ぎゅーーーっと抱きしめたレモン。
彼女が喜びを爆発させる姿を初めてみて、心が震えたことを鮮明に覚えています。
本当はとても強いんだと、彼女の芯の強さを知りました。
ひとりでいるのとひとりになっちゃうのは違うんだと、全身から溢れていました。
その後、私がモンキーセンターを離れている2年の間に、彼女は母になっていました。
ひときわ母性の強い、母に。
2016年3月22日出産。
アロマザリングで知られるアビシニアコロブスですが、レモンは他の個体に抱かせることなく、
ほとんどひとりで抱いて育てたそうです。
なかなかですよね。
母になる前にイロハでたっぷり母親修行をしていたので、
(2015年7月13日 イロハ生後2日目、ぎこちなく抱くレモン)
こちらも彼女の子育てには何の不安もありませんでしたよ。
彼女が大事に大事に
大事に大事に
育てたレナは、
今は誰よりも肝の座った少女に成長しました。
そしてその、ひときわ強い母性、
イイチコまで育ててしまいました。(イエローの子です。)
生まれた初日からイイチコを抱き続け、返さないレモン。返してもらうのを諦めモードのイエロー。
おかげで担当者はイイチコがちゃんと育っているのか、4ヶ月間24時間ビデオを回し続け、撮った映像をチェックする。という日々が続きました。
やってくれます。レモンさん。
そんな担当者の心配なんておかまいなしに、
レモンはイイチコを抱き続け、
イイチコは元気にやんちゃに育ってくれました。
私は、レモンの大事な時にはいつも立ち会えなくて、帝王切開の手術の時も、母になった時も。
天国へ旅立った時も。
でもなによりも、彼女の異変にもっと早く気づけていたら。悔やみきれません。
レモン、ありがとう。安らかに。
そして、イロハのこと。
7月12日、レモンが旅立った日に、イロハは4歳になりました。
こんな素敵なお手紙までいただいていました!!
イロハもやりよる。
ちょっと遅くなってしまいましたが、ささやかな誕生日のお祝いをしました。
イロハナスは真っ先に主役がかっさらっていき、
格闘中。
みんなも一緒にお祝いです。
イエローも。
レナも。
イイチコも。あー背な毛も一緒に口に入ってるよー。
あ!イロハナスが。。似てなかったからかな。。
キクマサに続いてレモンも。とてもとても寂しくなってしまいました。
彼らと過ごせる日々を大切に。
これからもアビシニアコロブス一家をよろしくお願いします。