■日時:2015/3/22(日) 12:30~13:15 ■講師:早川卓志先生 (京都大学霊長類研究所 遺伝子情報分野 特別研究員) ※プロフィールはこちら 私たちはお父さんやお母さん、おじいさん、おばあさん、そして兄弟姉妹と顔かたちが似ています。声や体つきも似ています。さらに、血液型や、巻き舌ができるかどうか、耳垢が湿っているか乾いているか、そして性格など、たくさんの同じ特徴を家族の間で持っています。同じ特徴が親から子へ、生まれつき受け継がれることを、生物学の言葉では『遺伝』と呼びます。生物の身体を形作る細胞のひとつひとつに含まれているDNA(ディー・エヌ・エー)という物質が、こうした『遺伝』する性質や特徴について決めています。双子の見た目がそっくりなのは、双子どうしが持っているDNAが完全に同じだからです。 |
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こうしたDNAの仕組みは、ヒト以外のサル(霊長類)でも同じです。サルもよく見てみるとひとりひとり顔が違いますが、親子や兄弟姉妹ではどことなく面影が似ています。体つきや性格も違います。更にヒトと同じような血液型も持っています。サルの顔かたち、生き方や暮らしについてもDNAが関係しています。 私はこうしたDNAの仕組みを利用し、逆にサルのDNAを直接調べることで、サルたちがどんな暮らしをしているかについて研究をしています。森での野外調査では、必ずしもサルの暮らしを一日中観察することはできません。サルたちが落としていった毛やウンチ、オシッコなどに含まれている細胞からDNAを抽出し、調べることで、たとえしっかり観察ができないサルのことについても、しっかり理解することに挑戦しています。更に、観察しているだけではわからないこと――そのサルのお父さんは誰か、どんな風に食べ物の味を感じているのか、大昔はどんな姿形をしていたのかなど――も、DNAから知ることができます。 サルのDNAの研究からわかってきたサルたちの知られざる暮らしについて、野外調査の風景の様子も交えながら、紹介したいと思います。 ■対象年齢:中学生以上 ※対象年齢以外の方でも自由にご参加いただけますが、難易度等は対象年齢に合わせて進行いたします。 |
※日本の動物園等で飼育されている霊長類の種数は102種類です。(2015年3月31日時点、GAIN調べ。種間雑種その他の分類不明なものは除く。) |