■JMC通信 2008年8月号(通算第2号)
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J M C 通 信 2008年8月号(通算第2号)
発行:財団法人日本モンキーセンター
http://www.j-monkey.jp/
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■目次■----------------------------------------------------
□コラム「一本のキハダの木」(学芸員 阿部 晴恵)
□イベント情報
・お盆期間の限定イベント!
・自由研究お手伝い月間
・特別展「日本モンキーセンターをとりまく動物たち」
□講座情報
・先生のための博物館・動物園活用講座
□webサイトより
・「飼育室」更新中
□編集後記
■コラム「一本のキハダの木」学芸員 阿部 晴恵■-------------
生態系の生物間相互作用の中で、「かなめ」の役割を果たし、そ
の種がいなくなれば、その生態系の特色が大きく変わるものをキー
ストーン種といいます。それとは少しは内容が違うのですが、生き
物を観察していると、その時期その場所でとても重要な役割を果た
している存在に出会うことがあります。
それは、知床国立公園にあった一本のキハダの木でした。初めて
その木を見たのは、4月初めのまだ雪がたくさん残っている時期で
した。歩道の脇にあるその木には、幹に直径10cmくらいの樹洞があ
り、根元付近には毎日新しい葉の食痕と糞が落ちていたので、モモ
ンガが住んでいる穴だとわかりました。さらに、幹にはシカの歯型
がたくさんついており、厳しい冬を乗り越えるために、やわらかい
コルクのようなキハダの樹皮を好んで食べている様子が時々みられ
ました。
5月、知床はようやく雪解けを迎えます。キハダの根元に積もっ
ていた雪も溶け、その全容が見えました。すると根元にもシカとは
別の歯型がありました。エゾヤチネズミです。それも、弧を描くよ
うに渦をまいてついており、雪の下でネズミがどんな体勢で木の皮
を齧っていたのだろうと考えると笑えました。
7月、ミカン科のキハダの木に産み付けられていたのか、木の周
りにはアゲハチョウが見られました。
8月、ネズミやシカに樹皮をはがされてしまったキハダは、徐々
に弱っていきました。そのため、腐り始めたキハダの根にはアリが
巣食い、そのアリを食べに、ヒグマが根元を掘り返すようになりま
した。
秋、キハダの木が実をつけました。弱ってしまったキハダには、
今年で最後になるかもしれませんが、その実を食べる鳥たちがたく
さん来ており、次世代はどこかで育つかもしれません。
知床半島に何万本あるかわからない木々の中で、この一本のキハ
ダの木は、その時期その場所で、様々な生き物との関わりを私たち
人間に見せてくれました。生物多様性の保全というと、どうしても
キーストン種や希少種の保護を思い浮かべがちですが、生態系の中
では、どんな生き物もほかの生き物と関わり合いながら生きていま
す。自然を守るということは、そこに存在するある特定の種だけを
守るということではなく、生きもの同士のつながりを守ることなの
だと、改めて感じさせてくれる存在でした。
キハダ(学名:Phellodendron amurense)
ミカン科キハダ属の落葉高木。アジア北東部に分布。樹皮をむくと
黄色い色をしており、黄膚と書く。漢方では胃腸薬としても用いら
れる
■イベント情報■--------------------------------------------
●お盆期間の限定イベント!
お盆期間(8/13〜8/17)は、毎日がイベントいっぱい!
・「紙芝居だよ!全員集合」毎日開催!13:30〜
・新企画「飼育係を探せ!」毎日開催!15:30〜16:30
新企画の「飼育係を探せ!」は、園内で作業中の飼育係を探してく
ださい。背中のヒントから答えのサルがわかったら、ビジターセン
ターのBOXへ。
16:30〜の答え合わせでは、正解者の中から抽選で賞品も♪
●自由研究お手伝い月間
夏休みの自由研究や工作にピッタリな、体験イベントを開催します。
今後の開催予定はこちら↓
・土の中の生きものを探そう! 8/19(火) 13:30〜
材料費1人100円 先着20名様まで
●特別展「日本モンキーセンターをとりまく動物たち」
ウシモツゴやオオサンショウウオなど、自然豊かな犬山を象徴する
動物たちが大集合!毎週土曜13:30〜は関連イベントも開催します。
場所:ビジターセンター内特別展示室にて
会期:8/31(日)まで ←あとわずかです!
★夏催事詳細はこちら→http://www.j-monkey.jp/event/index.html
■講座情報■-----------------------------------------------
●「先生のための博物館・動物園活用講座」
日本モンキーセンターは、世界のサルを70種以上約700頭を飼育展
示し、専門知識を持った学芸員が常駐して、学校団体向けの校外学
習、社会見学などにご利用いただけるプログラムを実施しています。
先生方にこれらの活用法を知っていただくため、「先生のための博
物館・動物園活用講座」を企画しました。夏休み終盤のお忙しい時
期かと思いますが、ぜひご参加ください。
日時:平成20年8月22日(金)13:00〜16:00
定員:幼稚園や学校等の先生方 50名(先着順)
場所:日本モンキーセンター内 ビジターセンター
参加費:無料
※駐車料(1台まで可)及び入園料(4名様まで可)も無料となります。
日程:
12:30〜 受付開始
13:00〜13:50 サル学基礎講座
学校と動物園の連携実践事例紹介・質疑応答
14:00〜14:50 学芸員による園内ガイド
15:00〜15:30 標本庫などのバックヤード見学
15:30〜16:00 質疑応答等
16:00 解散
申込方法:http://www.j-monkey.jp/education/index.htmlより参
加申込書をダウンロードし、必要事項をご記入の上、FAXにてお申
込ください。
申込締切日:2008年8月20日(水)
■webサイトより■-------------------------------------------
●「飼育室」更新中!
最近の更新は・・・
vo162「雷」[2008.8.6更新]
vo161「佃煮の出来る・・・・収穫」[2008.7.30更新]
「飼育室」はこちら→http://www.j-monkey.jp/keeper/
■編集後記■------------------------------------------------
怒涛のような夏休みです。
飼育係のシークレットガイドは、1日30回を上回る日も。
その他にも、サマースクールや自由研究イベントが目白押し。
ちょっと欲張って企画しすぎたかな、、、(汗)
でも、先日の自由研究イベントでは、開始1時間も前から「参加予
約できますか?これに参加したくて今日来たんです〜」というご家
族が。そんなことがあると、うれし涙が出ちゃいます。
夏休みも後半戦。自由研究のご相談も大歓迎ですよ〜!!(赤)
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発行:財団法人日本モンキーセンター
〒484-0081 愛知県犬山市犬山官林26
TEL:0568-61-2327 FAX:0568-62-6823
URL:http://www.j-monkey.jp ←登録・解除はこちらから
動物取扱業の表示:業種:展示 動尾第510号
登録:平成19年5月31日 有効:平成24年5月30日 取扱責任者:加藤章
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